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するためである。ブラウンの大量の不足推計の理由も同じ要因による。
筆者やブラウンの膨大な穀物不足の予測は、世界貿易市場の穀物貿易価格の上昇を引き起こす。筆者の予測では、世界穀物需給の長期の価格弾性(価格上昇率に対する需給の変化率の比)を0.15とすれば、貿易市場では2020年に穀物価格が93年との比較で50%ほど上昇する。この穀物貿易価格の上昇は発展途上諸国の国内穀物価格をかなり上昇させ、現在それら諸国で11億人、2020年にもかなり存在すると考えられる貧困人口に大きな困難をもたらす。
欧米の農業政策の転換、穀物の供給と需要の長期的要因、中国や日本の穀物やコメ輸入の増加から、世界とアジアの穀物需給は2020年に大幅な不足が予測される。日本のコメ輸入はアジアの米価を引き上げかつ不安定にしてアジア人に大きな迷惑をかける。また長期的にこの輸入が続けられるとは限らない。日本の穀物自給率は過去の農業政策を継続すれば表2が示すように、93年の28%から2020年に21%に低下する。欧州諸国と比較して戦後急増した日本の農林水産物輸入は日本国内の淡水や海水の富栄養化という環境破壊をもたらし、、エビや木材の場合に示されるように外国でも大きな環境破壊を引き起こしている。日本はアジアや途上国の人々と日本人自身とに大きな迷惑をかけるという意味で農林水産物を輸入しすぎているのではないか。日本はコメを含む農林水産物を、国内で環境破壊をできるだけ引き起こさない形で最大限自給する農林水産業を構築すべきではないか。

 

 

1.OECD,National Policies and Agricultural Trade, Paris:OECD,1987,p.52−53.
2.Ibid.,p.52.
3.Ibid.,p.56.
4.FOB輸出額はCIF輸入額と対応させるため1.07の係数で調整した。
5.FAO,Agriculture:Toward 2010, Rome:FAO, 1993.
6.Ibid.

 

 

 

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